

保育士の視点から、子どもたちの日常を切り取り、当園が大切にしている保育のカタチをお届けします。
家事や仕事の合間に、ホッと一息つきながら読んでいただければ幸いです。
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〜「おまつり」が繋いだ1年間の軌跡〜
こんにちは!フレーベル西が丘みらい園(以下、みらい園)です。
前回の記事*では、栽培から「土」に着目し、探究を深めた子どもたちの姿をお伝えしました。
今回は、子どもたちの「表現したい」「やってみたい」というエネルギーが動かした、幼児クラス別グループのもう一つの探究の軌跡を2025年度を振り返ってご紹介します!
*すくわく報告2025年度_02 足元の「不思議」|連載 道草を踊るvol_04 へ遷移します
2025年5月、きっかけは、昨年の祭りの記憶と、子どもたちが夢中になっていた「おばけやしき」への興味が結びついたことでした。
「保育園にお祭りを作りたい!」 その一言から、「子ども会議」が動き出しました。
「みんなに楽しんでもらうには?」
「どこでやる?」「なまえはどうする?」
「誰を呼ぶ?」「チケットは必要?」
答えを教えるのではなく、子どもたちが自分で考え工夫することで自信を持てるような関わりをすること。
保育士は答えを教える「先生」ではなく、隣を歩く伴走者。
ホワイトボードにみんなの意見を書き出し、バラバラだったアイデアを「可視化」することで、子どもたちの思考を支えていきます。
また、「おばけ」「お祭り」「お金」など子どもたちのつぶやきから関連する絵本などを用意することで、世界がグッと広がりました。
私たちが大切にしているのは、「全員同じ活動」にとらわれないことです。
どんどん準備を進める「先陣を切る子」
少し離れたところから「見ていたい子」
「お客さん」として全力で楽しみたい子
最初は見ていただけの子が、友達の楽しそうな姿を見て「ちょっと手伝ってみようかな」と動き出す。そのグラデーションを大切に、保育士は焦らず、一人ひとりのタイミングを信じて見守ります。
影を見つめる。
自分で作った“LaQおばけ”をプロジェクターやライトの光にあててみるEさん。角度や距離、明るさによる、影の大きさや長さ、色の違いに気づき、じっくり実験を繰り返していました。
活動が深まるにつれ、子どもたちは自然な形で「文字」や「数」、そして「社会の仕組み」に触れていきました。
初めての文字、20人分。
チケット担当になったSさん。実はこれまで、ひらがなを書いたことはありませんでした。しかし「お友達を招待したい!」という強い目的が、大きなきっかけとなりました。保育士の見本を真剣に見つめ、一文字ずつ丁寧に、なんと20人分の名前を書ききったのです。
誰かに「言われて書く」のではなく、自分が「伝えたいから書く」。
みらい園が、大切にしている「学び」の姿を見せてくれた場面でした。
準備期間中は、子どもたち同士の意見がぶつかることもありました。
そうじゃない!と素直に言える場。
“ようかいすてーじ”の選曲会議。「それじゃない!」「もう!できなくなる!」と気持ちがぶつかる声もありましたが、段々「いいね」と意見がまとまっていきました。
子どもたちの葛藤の最中、保育士はあえてすぐには介入しません。
「どうすればみんなが納得できるか?」を自分たちで乗り越える経験が、折れない心を育むと考え、子どもたちを信じてまずは見守ります。
会場は超満員!
イメージとリアルを自由に行き来する。
「人間を食べて、手についた血をなめてるんだよ」と細かい設定をイメージしていたHさん。おばけ役を演じる表情にも気持ちの強さがあらわれています。「腕が疲れちゃったよ、意外と大変だなぁ」と言いつつも「お客さんまだくるの!」と30分間しっかり仕事をやりきりました。
「みんなに楽しんでもらうには?」という問いに、一人ひとりが自分の役割で応えていたように感じます。
おばけ役、ステージに立つ人、司会進行役、照明担当等の役割を相談して決めたり、お店、お金、呼び込みの挨拶等社会の仕組みに触れたり、時にはぶつかり合いながらも一つの目標へ向かう姿が見られました。
1番前の席でステージを楽しむ仲間の姿も。
それぞれが楽しめた「にじまつりらんど」は、1回では終わりませんでした。
動画を活用した振り返り中、「またやりたい!」という声が上がったのです。
このように、子どもたち自らが好奇心や探究心を起点に、企画から実行、振り返りを行う活動の一連の流れは、にじまつりらんど2、夏祭り、秋のハロウィン、冬のクリスマスやバレンタイン、にじまつりらんど3・・・と、季節の行事と混ざり合いながら、1年を通して継続的に展開していきました。
私たちは行事を単なる「1日のイベント」として捉えません。
準備のプロセスで生まれる「気づき」や、友達との「対立」や「和解」。喜怒哀楽、いろんな感情を仲間と共有し進めていく経験こそ、子どもたちの生きる力の根っこになると考えます。
「やりたい」を形にする力。多様な参加の仕方を認め合う心。
子どもたち一人ひとりが自ら育とうとする成長の軌跡を、これからも大切に見守っていきたいと思います。
お家でも、お子さんが「お店屋さんごっこ」を始めたら、それは最高の発明の時間です。
「チラシは何で作る?」「看板はどこに置く?」と、お子さんの視点に光を当ててみると、驚くようなアイデアが飛び出してくるかもしれません。
園の「おまつり」の様子をまとめたドキュメンテーション(記録)は、園内にも掲示しています。
地域の方も、ぜひお散歩がてら覗きに来てください。
みらい園は、保育のより一層の質向上につなげていくために「とうきょうすくわくプログラム推進事業」に取り組んでいます。
この情報発信は、とうきょうすくわくプログラムの活動報告として掲載します。
■「とうきょうすくわくプログラム推進事業」とは?
「とうきょう すくわくプログラム」は、幼稚園や保育所において、子どもたちが好奇心や興味をもって、わくわくしながら遊び、学べるよう応援する取り組みです。
取り組みを通じて、子どもたちの自己肯定感や思いやりといった豊かな心の育ちをサポートしていきます。
(出典:東京都すくわくポータル)
子どもから、驚くようなアイデアがでてくることってありませんか?
みらい園では、冬のある日、子どもたちから「園でスケートがしたい!」という驚きのアイデアが飛び出しました。
反射的に「リンクなんて作れない」と思ってしまいそうですが、私たちは子どもたちの「やりたい」に並走してみました。
ブルーシートを敷き、「プールみたいに雨どいで囲めば水が溜まるよ!」と工夫を凝らして作った特製リンク。
迎えた月曜日の朝、土日の雪で見事に凍りついた銀世界が広がっていました。
「本当にできた!」
あの日、氷の上で目を輝かせた子どもたちの姿と、不可能を可能にした探究心。
その感動は、今も私たちの宝物です。