

保育士の視点から、子どもたちの日常を切り取り、当園が大切にしている保育のカタチをお届けします。
家事や仕事の合間に、ホッと一息つきながら読んでいただければ幸いです。
*保育連載「道草を踊る」イントロダクションへ遷移します
※過去の記事はこちら
こんにちは!フレーベル西が丘みらい園(みらい園)です。
前回の記事*では、春の1歳児クラスの様子について、乳児期ならではの深い探究の姿をお届けしました。
*: 1歳児の「こわい」の正体とは?|保育連載 道草を踊る vol_08 へ遷移します
今回は、前回に引き続き乳児(0歳児・1歳児)クラスの「水遊び」の様子から、子どもたちの頭と心の中でどんな変化が起きているのかを紐解きます。
一見すると、ただ楽しく水に触れているだけに見える「水遊び」の時間。
・・・けれどその奥には、子どもたちのワクワクと、保育士たちの丁寧な見守り、があふれています。
その日は、0歳児クラスと1歳児クラスが一緒に「水遊び」をすることになりました。
0歳児クラスのみの活動の時は、基本的に「水」をよく観察したり、触れたりして「水に親しむ」ことを目的にしています。
しかし、この日は新たな展開がありました。
普段、慎重な性格で「はじめてのもの」には少しドキドキな0歳児のAくん。
しかし、何回か経験を重ねてきた水遊びは「大好きな時間」です。
その視線の先には「道具」と「1歳児クラスのお友だち」が。
興味を持った道具に「これなあに?」と、すーっと手を伸ばしていきます。
保育の視点:お友だちの姿を見て、そっと広がった世界
1歳児のお友だちがペットボトルに水を入れている姿を、じーっと見つめるAくん。
やがて真似をして、ペットボトルを手に取りました。Aくんは「ペットボトルに水を入れる」までには至りませんが、ボトルの横側にひたすら水を当て始めました。
一見すると「水を上手に入れられていない」ように見えるかもしれませんが、実はそうではありません。
Aくんは「面白そうなことをしているお友だち」に気づき、友だちやモノに興味を抱いたことで「自分もやってみたい」と試した結果、遊びがどんどん広がりました。
ほんの少し成長の先を行くお友だちと一緒に過ごす時間は、乳児期の子どもたちにとって「やってみたい」の気持ちがそっとふくらむ、やさしい刺激になっています。
一方、1歳児のBさんはペットボトルとお水の世界にすっかり夢中です。
注ぎ口にお水を入れようと繰り返し試みますが、水が入るとボトルが少し重くなったり、水が溢れてうまく移せなかったり……。
「うーん」と少し困ったような表情を浮かべながらも、あきらめずに繰り返しています。
「たすけて〜」と保育士に手を借りる場面もありつつ、またすぐにペットボトルに向き直り、夢中で手元の感覚を味わっていました。
保育の視点:手を出しすぎずにあたたかく「見守る」
みらい園では、保育士が先回りして手を貸すことは極力しません。
お水が重くて持てない!
ペットボトルにつけるキャップがほしい!
そんな姿は、次のステップに進もうとする瞬間です。
静かに見守り、子どもからの合図があった時には、いつでもそっとサポートをします。
大人が途中で声をかけすぎず、中断されない穏やかな時間があるからこそ、子どもは「触ってみて、感じる」プロセスを心ゆくまで重ねることができます。
この「夢中になって手ごたえを確かめた経験」が積み重なっていくことが、将来、何かにじっくり向き合うためのしなやかな心の土台になっていくのではないでしょうか。
子どもたちがこれほど深く自分の世界に入り込める理由。
それは、保育士の「遊びの場づくり(環境設定)」と「子どもたちの興味関心を捉える視点」にあります。
道具の間隔を開けてそっと置いておく
一箇所に道具をまとめず、少し離れた場所に点々と置くことで、子どもたちがギュウギュウにならず、自分のペースでゆったり水と向き合えます。
「いつもと同じ安心感」を大切に
いつもの慣れた環境の中に、ほんの少し新しい素材を混ぜてみる。子どもたちが驚きすぎず、「なんだろう?」と自然に探索できるような空間を整えています。
保育士が最初に舞台を整えておけば、あとは子どもたちの「なんだろう?」という気持ちで、ゆったりと豊かな遊びが広がっていきます。
水遊びというと、ダイナミックにびしょ濡れになってはしゃぐ姿や弾ける笑顔に目が向きがちかもしれません。
けれど、実は静かな時間の中にも、子どもたちの豊かな遊びの経験が隠れています。
じーっと流れる水を見つめるまあるい瞳。
流れる水に触れてみた時の、小さな驚き。
「触ると、パチンとはじけるんだな」と、感覚を全身で味わう姿。
一見「ただ、それだけ」に見えるような瞬間も、子どもたちは世界と出合い、自分のペースでたくさんのことを感じ取っています。
何かを早くできるようになること以上に、乳幼児期に大切にしたいのは「自分のからだで触れて、感じて、満たされる」という心地よさです。
そんな時間の中で育つ、成長の芽を、保護者の皆さまと一緒に見守っていけたら嬉しく思います。
次回の「保育連載|道草を踊る」もお楽しみに!