

保育士の視点から、子どもたちの日常を切り取り、当園が大切にしている保育のカタチをお届けします。
家事や仕事の合間に、ホッと一息つきながら読んでいただければ幸いです。
*連載「道草を踊る」イントロダクションへ遷移します
〜表現と体験、その痕跡〜
こんにちは!フレーベル西が丘みらい園です。
「連載|道草を踊る」をご覧いただきありがとうございます。
前回の記事では、子どもたちが「大きい凧は、重いのになんで飛ぶの?」と、目に見えない「風」の力について自分たちで問いを立て、探究する姿をご紹介しました。
※「連載 道草を踊る|1月 予想外がつくる遊び」へ遷移します
今回は、そんな子どもたちが「色」や「形」という、また別の「世界」に没入した様子をお届けします。
今回用意したのは、真っ黒な「墨汁」。
いつもの絵の具とは違う色、独特の香り。墨がつくる「ほんとうのまっくろ」。
筆を手に取ると、紙の上をスルスルとすべる感触に、心が動きます。
「習字」のイメージから、文字を書く人もいれば、思いのままに筆を走らせる人も。
「ねえみて、つるつるなっちゃうよ」
にじむ線、かすれる線など、墨ならではの濃淡が生み出す偶然の美しさを楽しみました。
自分たちで育てた稲の藁(わら)や、ロープという筆以外の素材も用意しました。
「なんか、へんな線がかけた」
「じゃあ、もっと墨つけてみる?」
藁を持つ。握る。墨に浸けてみる。染みていく墨を視る……
それぞれの素材とじっくり向き合い、様々に働きかける子どもたち。
それによって現れる変化を「素材からの返事」として受け取ると、また違ったアプローチを試します。
こうした素材とのやりとり、語り合う時間が、子どもたちの感性を育てます。
この遊びは、「作品」を作るためのものではありません。子どもたちは、ただ墨と向き合い続け、遊び続けます。その中で、濃淡の間にある無限の色彩の世界に触れ、自分自身を表現します。
活動後、紙に残った「遊びの跡」。この痕跡こそがアート。
「上手に描く」「きれいに仕上げる」といったことは重要ではありません。子どもたちが素材と語り合う時間や体験そのものに価値があると考え、その機会を保障します。
子ども達も、遊びそのものを味わって楽しむかのような姿を見せてくれています。
そんな安心感の中で、一人ひとりが「自分らしい表現」を追究していきます。
お家ではハードルが高いかもしれない「墨」も、みらい園では五感をすべて使い、思う存分味わうことができます。
子どもたちが何かにじっと見入っている時、それは「学び」の真っ最中。
そんな子どもたちの学びを、見守っていきたいと思います。
次回もどうぞお楽しみに!