


こんにちは!フレーベル西が丘みらい園(以下、みらい園)です。 心と体のセルフケアにまつわる連載「ぎゅっと、わっと。」の第2回をお届けします。
日々お子さんと向き合う保護者の皆様へ、みらい園の看護師(園内では「ナース」と呼んでいます)が、生きる力の一つであるセルフコンパッションを育むヒントをお届けいたします。
「自分を大切にする」話をテーマに、専門知識だけでなく、園での取り組み事例をお伝えしていきます。
「そういう伝え方もあるのか!」といった気づきを得ていただいたり、親子で心も体も「自分を大切にできる(セルフコンパッション)」につながったり、そんなきっかけ作りになれば幸いです。
参照:『あんぜん あんしん 園生活かみしばい(心とからだをたいせつに)』(作:大塚 健太 / 絵:上田 英津子 / 監修:土屋 麻由美 / フレーベル館)
6月に入り、子どもたちが大好きな「水遊び」の季節が近づいてきました。園でも着替えや水着になる機会が増えるこの時期、私たちが大切にしているのが「包括的性教育」及び「プライベートゾーン」のお話です。
「性教育」と聞くと、なんだか身構えてしまいませんか?
日本の現状として、学校教育でも核心に迫る具体的な指針が少なく、大人も伝えるために性教育を受けてきていないこともあり「どこまで、どう伝えたらいいの?」と手探りなのが実情です。
しかし園では、性教育を特別なことではなく、「自分と相手の命、そして心を大切にするための、身近な話」として子どもたちに伝えています。
夏本番を前に、お家でも楽しくスタートできるヒントをナースの視点でお届けします。
園では、水遊びが始まるこの時期に、3〜5歳児を対象とした保健指導を行っています。
参照:『あんぜん あんしん 園生活かみしばい(心とからだをたいせつに)』(作:大塚 健太 / 絵:上田 英津子 / 監修:土屋 麻由美 / フレーベル館)
着替えの時に「すっぽんぽん」で走り回るのを防ぐため、まずはとてもシンプルで大切な約束事を伝えます。
【プライベートゾーンの約束】 水着で隠れるところ(むね・おまた・おしり)と、お口は、あなただけの「プライベートゾーン」。 「見せない・触らせない」、そして「見ていい・触っていいのは自分だけ」だよ。 トイレのときも、お友達のところはのぞかない(見ない)でおこうね。
着替えのときは「一個脱いだら、一個着ようね」と、子どもたちが行動しやすい言葉で伝えています。
さらに一歩進んで、「じゃあ、お友達に“ぎゅー(ハグ)”ってしたいときはどうする?」と問いかけてみました。
すると子どもたちから、こんな素敵な答えが返ってきたのです。
「勝手にやらない!」「(相手が)『いいよ』って言ってくれたらいい!」
自分の体だけでなく、相手の意思や「嫌だ」という気持ちも大切にする。
もしお友達がお話を聞いてくれなかったら、我慢しないで先生やお父さん・お母さんに教えてね、などをお話しました。
水遊び前の指導ですが、これは園生活、ひいてはこれからの人生全般に関わる大切なセルフケアの基盤です。
園では、体の違いだけでなく「心の多様性」についてもお話しすることがあります。
「男の子だけど、かわいいものが好き」「女の子だけど、かっこいいものが好き」。
そんなお友達の姿に「変?」という声があがったとき、園では、クラスみんなで集まって話し合いをします。
ナースや先生から「先生もかっこいいものが好きだよ。」と伝えると、子どもたちから「男の子も女の子も、好きなものは好きでいいんだよ」という頼もしい声が。
そのような話のあとには、違いに少しずつ悩み始めていた子が、「ほっ」と安心した表情を見せてくれることがありました。
園は、「周りと違っていいんだ」と肌で感じ、自分とお友達の「好き」を認め合える場でありたいと考えています。
4〜5歳頃になると、男の子と女の子の違いや、生き物の「オス・メス」に興味を持ち始めます。
ある日突然、お子さんからこんな質問をされたら、どう答えますか?
「パパ(男の子)にはおちんちんがあるのに、ママ(女の子)にはなんでないの?」
とっさのことに「うっ……」と驚いて、言葉に詰まってしまうこともあるかもしれません。
しかし、せっかくお子さんが興味を持ったベストタイミング、はぐらかしてしまうのはもったいないですよね。
そんな時は、「根拠のある正しい知識」を堂々と伝えられるとよいのではないかと思います。
例えば、こんな風に答えてみるのはいかがでしょうか。
「ないわけじゃなくて、見える形が違うだけなんだよ。男の子は見えやすい形をしていて、女の子も見えないようになっているだけで、みんな(命をつなぐための)大切な場所があるんだよ」
また、虫が大好きな時期なら、「オスとメスは、新しい命(卵)をつなぐために体が違うんだよ。人間も同じだよ」と、生物としての分類からお話するのもおすすめです。
たとえ言葉に詰まっても大丈夫。
大人が正しい知識を持ち、「あなたの大事な場所だからね」ということを伝えたい一生懸命な気持ちは必ず子どもに伝わります。
「お家で話すきっかけがつかめない」という方は、ぜひ書籍や絵本をリビングに置いて、お子さんと一緒に読むことから始めてみてはいかがでしょうか。
園でも、発達段階に合わせてこんな絵本を活用しています。
1〜2歳児向け: 『おむつのなか、みせてみせて!』(文・絵:ヒド・ファン・ヘネヒテン / 訳:松永 りえ / パイ インターナショナル)排泄への興味から、おむつ外れや体の自認に繋げる絵本
3〜4歳児向け: 『だいじ だいじ どーこだ?』(作:遠見 才希子 / 出版社:大泉書店)プライベートゾーンを分かりやすく伝える絵本
5歳児向け: 『おしえて!くもくん プライベートゾーンってなあに?』(企画:MASUMI / 制作:サトウ ミユキ / 監修:小笠原 和美 / 東山書房 身近な事例に学べるため、5歳児からも理解できる内容です。
実は園には、子ども向けの絵本だけでなく、大人向けの実用書もたくさんそろっています。
先生たちもクラスで話す前に、これらの本を読んで勉強しています。
地域の子育て家庭の皆様も、園にいらした際はぜひこれらの書籍を手に取って読んでみてくださいね ♪
最後に、大人側として園で気を付けていることをお伝えいたします。
それは「保護者・保育者であっても、勝手に見たり触ったりしない」を徹底することです。
お家でも、健康上の確認のためやお風呂で体を洗ってあげる際にも「今から○○だから、△△を見せて(触る)ね」と必ず声をかけましょう。
言葉では「わかった!」とお話ししてくれる子どもたちですが、事例をもとに「こんな場合はどう思う?」とたずねると答えが割れることもあります。お家でも「どんな時はよいのか、そうではないのか」「どうしてそう思った?」といったお話をしてみるのはいかがでしょうか。
お父さん、お母さんのその言葉や行動の配慮は、お子さんが自分を一生大切にしていくための、かけがえのないお守りになります。
次回の「ぎゅっと、わっと。」もお楽しみに!